【基礎知識】なぜYouTubeで曲を使うと「著作権侵害」になるのか?

まず最初に押さえておきたいのが、YouTubeにおける著作権の基本的な仕組みです。
「知らなかった」では済まされないルールがあるので、しっかり理解しておきましょう。
YouTubeの著作権管理システム「Content ID」の仕組み
YouTubeにはContent IDと呼ばれる、世界最大級の自動著作権管理システムが搭載されています。
このシステムは、いわば「音楽の指紋認証」のようなものです。
レコード会社や音楽出版社があらかじめ登録した膨大な楽曲データベースと、あなたがアップロードした動画の音声を自動照合します。
一致が見つかった場合、以下のいずれかの措置が取られます。
- ブロック(Block)
動画が視聴できなくなる(最も厳しい措置) - 収益化(Monetize)
動画には広告が表示されるが、収益は権利者に渡る - トラッキング(Track)
動画はそのまま公開されるが、視聴データが権利者に共有される
ここで重要なのは、「著作権侵害の警告(Copyright Strike)」と「Content IDの申し立て(Claim)」は別物だということです。

Content IDの申し立てであれば、動画が即座に削除されることはありません。
しかし、著作権侵害の警告(Strike)を3回受けると、チャンネルが永久停止されます。
この違いを正しく理解しておくことが、安全なチャンネル運営の第一歩です。
海外向けチャンネルで特に注意すべき「ジオブロック(地域制限)」
海外進出を目指すYouTube運営者にとって、最も厄介な問題がジオブロック(地域制限)です。
これは、Content IDの設定によって「日本では再生できるが、アメリカやヨーロッパでは視聴不可」という状態になることです。
例えば、日本のJ-POPやアニメソングを動画に使用した場合、日本のレコード会社が「日本国内は許可するが、海外では配信権がないのでブロック」という設定にしているケースが非常に多いのです。
つまり、日本でいくら問題なく再生できていても、海外の視聴者には「この動画はお住まいの国では再生できません」と表示されてしまうのです。
これでは、せっかく字幕をつけたり、多言語で発信したりしても、肝心の動画が届きません。
海外展開を考えるなら、最初から「世界中で再生できる楽曲」を選ぶことが鉄則です。
著作権フリー・ロイヤリティフリー・著作権切れ(パブリックドメイン)の違い
「フリー素材」「ロイヤリティフリー」「著作権フリー」…。似たような言葉が飛び交っていますが、意味はすべて異なります。この違いを知らないと、思わぬトラブルに巻き込まれます。
- 著作権フリー
著作権そのものが存在しない、もしくは放棄された楽曲。
実際にはほとんど存在しません。 - ロイヤリティフリー
一度ライセンス料を支払えば、その後の使用に追加料金がかからない楽曲。
「無料で使える」という意味ではありません。 - パブリックドメイン(著作権切れ)
著作権の保護期間が満了した楽曲。
ベートーヴェンやモーツァルトの「作曲」自体はパブリックドメインです。
ここで注意したいのが、パブリックドメインの「落とし穴」です。
クラシック音楽の「楽曲(メロディ・譜面)」自体は著作権が切れていても、特定のオーケストラが演奏した「音源(レコーディング)」には別途「原盤権」という権利が存在します。
つまり、CDからリッピングしたクラシック音楽をそのまま動画に使うと、原盤権の侵害でContent IDに引っかかるのです。
さらに、著作権の保護期間は国によって異なります。
日本は「著作者の死後70年」ですが、アメリカでは無名・変名・職務著作等の場合には「発行後95年」または「創作から120年」のいずれか短い方というルールもあります。
海外展開するなら、最も厳しい国の基準に合わせるのが安全です。
YouTubeで曲を使う4つの方法【安全性・コスト比較】

では実際に、YouTubeの動画で曲を安全に使うにはどうすればいいのでしょうか?
ここでは代表的な4つの方法を、安全性とコストの観点で比較しながら紹介します。
方法1:YouTubeオーディオライブラリ(安全性:◎ / 品質:△〜○)
YouTubeが公式に提供している無料の音楽・効果音ライブラリです。
YouTube Studioの「オーディオライブラリ」からアクセスできます。
【メリット】
- YouTube公式なので著作権トラブルが起きにくく、最も安全
- 完全無料で商用利用可能
- ジャンル・ムード・楽器でフィルタリング検索ができる
- 「帰属表示不要」の楽曲も多い
【デメリット】
- 楽曲の選択肢が限られている
- 他のYouTuberと同じBGMが被りやすい(「あ、この曲聴いたことある」と思われがち)
- トレンド感のある洋楽風サウンドは少なめ
初心者や、まずはリスクゼロで始めたい方にはおすすめですが、チャンネルの個性を出したい場合やブランディングを重視する海外展開では、やや物足りなさを感じるかもしれません。
方法2:有料のストックミュージックサービス(安全性:◎ / 品質:◎)
海外展開を本気で考えるなら、これが最もおすすめの方法です。
月額課金(サブスクリプション型)で、プロが制作した高品質な楽曲を自由に使えるサービスが世界中に存在します。
【メリット】
- 楽曲のクオリティが圧倒的に高い(テレビCMレベル)
- Content IDの申し立てが来ても、ライセンスコードで即解除できる
- 世界中で利用可能。ジオブロックの心配がない
- 海外のトレンドに合った洋楽テイストの楽曲が豊富
【デメリット】
- 月額1,000〜3,000円程度のコストがかかる
- 解約後は新規動画に使えなくなるサービスもある(契約条件の確認が必要)
海外の人気YouTuber(登録者100万人超)の多くが、この方法を採用しています。
「投資」として考えれば、月額数千円で著作権トラブルから完全に身を守れるのは非常にコスパが良いといえます。
方法3:無料のフリー音源サイト(安全性:○ / 品質:○)
個人クリエイターが楽曲を無料で提供しているサイトも数多くあります。
【メリット】
- 無料で使える
- 日本語サイトも多く、探しやすい
- 独自性のある楽曲が見つかることも
【デメリット】
- クレジット表記(帰属表示)が必要な場合が多い
- Content IDに登録されている楽曲もあり、申し立てが来ることがある
- 利用規約がサイトごとに異なるため、確認の手間がかかる
- 海外視聴者にとって馴染みのないサウンドの場合がある
日本国内向けのチャンネルであれば十分ですが、海外展開を視野に入れる場合は利用規約を英語でも確認できるサイトを選ぶと安心です。
方法4:有名な市販曲(J-POP/洋楽)を使う(安全性:△ / コスト:高)
多くのYouTube運営者が「使いたい!」と思うのが、誰もが知っている有名アーティストの楽曲です。
しかし、これが最もリスクが高い方法です。
原則として、レコード会社やアーティストから直接許可を得るか、正式なライセンスを購入しない限り、市販の楽曲は使用できません。
「収益化していないから大丈夫」と考える方もいますが、これはよくある誤解です。
収益化の有無にかかわらず、著作権法は適用されます。
ただし、以下のような例外もあります。
- 「歌ってみた」「演奏してみた」
JASRACやNexToneがYouTubeと包括契約を結んでいるため、日本の管理楽曲であれば演奏や歌唱のカバー動画は一定の条件下で許容される場合があります。
ただしこれは「自分で演奏・歌唱した場合」に限り、CD音源やカラオケ音源をそのまま使うのはNGです。 - YouTube Shortsの「サウンドを追加」機能
YouTube Shortsは最大3分まで作成可能ですが、YouTube側が提供する楽曲を使って、曲によって最大90秒まで使って動画を作成できます。
ただし、1分超のShortsに第三者Content ID claimがある場合、グローバルでブロックされます。
海外進出に強い!YouTube運営者におすすめの音源サイト
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【実践編】曲を使う際の手順とトラブル回避テクニック
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こんな時どうする?著作権トラブルQ&A
実際にYouTubeを運営していると、さまざまなトラブルや疑問に直面します。
ここでは、特に多い質問をQ&A形式でまとめました。
Q. 「著作権の申し立て」が届いたらどうすればいい?
A.
Content IDの申し立て(Claim)は、動画が即座に削除されるわけではありません。
多くの場合、「動画の収益が権利者に渡る」か「一部の国で再生制限がかかる」だけです。
対処法は以下の通りです。
- 正規のライセンスを持っている場合
異議申し立て(Dispute)を行い、ライセンスの証拠を提出する。通常30日以内に解除される - ライセンスがない場合
該当部分の楽曲を差し替えるか、ミュートする。YouTube Studioの編集機能で対応可能 - 明らかに誤った申し立ての場合
YouTubeの異議申し立てプロセスを通じて反論する
絶対にやってはいけないのは、虚偽の異議申し立てを行うことです。
これはYouTubeの利用規約違反であり、チャンネル停止の原因になります。
Q. 昔のクラシック音楽なら自由に使っていい?
A. 「楽曲」はOKでも「音源」にはNGの場合があります。
ベートーヴェンやショパンなどのクラシック作曲家の「楽曲(メロディ・譜面)」自体は、著作権の保護期間が満了しているためパブリックドメインです。
しかし、特定のオーケストラやピアニストが演奏・録音した「音源」には「原盤権(レコード製作者の権利)」が存在します。
つまり、CDやストリーミングから取得したクラシック音源をそのまま動画に使うと、原盤権の侵害でContent IDに検出される可能性があるのです。
安全にクラシック音楽を使いたい場合は、以下の方法を検討しましょう。
- 自分で演奏する(最も安全)
- パブリックドメインの音源を提供しているサイト(Musopen、IMSLP等)から入手する
- ストックミュージックサービスでクラシックアレンジの楽曲を探す
Q. 収益化していない動画なら好きな曲を使っていい?
A.
著作権法は、あなたの動画が収益化されているかどうかに関係なく適用されます。
収益化していない動画でも、権利者はContent IDの申し立てや著作権侵害の警告を出すことができます。
「お金を稼いでいないのだから問題ないだろう」という考えは通用しません。
著作権は「経済的損害の有無」ではなく、「許可なく他人の創作物を利用したかどうか」で判断されます。
さらに、YouTube側が自動的に広告を挿入する場合もあるため、あなたが収益化していなくても結果的に広告が表示されるケースもあります。
この広告収益はすべて権利者に渡ることになります。
Q. 海外の曲(洋楽)を使う方が海外で伸びる?
A. 一概には言えませんが、歌詞のないインストゥルメンタルが無難です。
有名な洋楽を使えば海外受けするかというと、必ずしもそうではありません。
むしろ、有名曲はContent IDに引っかかるリスクが高く、収益面でもデメリットが大きいです。
海外向けチャンネルのBGM選びのコツは以下の通りです。
- 歌詞のないインストゥルメンタル(BGM)
ナレーションや字幕の邪魔にならない。どの言語圏の視聴者にも違和感なく受け入れられる - ジャンルの親しみやすさ
Lo-Fi Hip Hop、チル系、アコースティックなどは世界的にYouTubeで人気のBGMジャンル。視聴者を選ばない - 動画のテーマに合わせた選曲
日本文化を紹介するチャンネルなら、あえて和風BGMを使うことで「日本らしさ」を演出できる。
これは差別化にもなる。 - テンポとムードの一致
楽しい場面には明るいBGM、真剣な場面には落ち着いたBGMなど、映像と音楽の「感情の方向」を合わせることが大切
まとめ:安全な音源で海外ファンを掴もう!
本記事では、YouTubeで曲を使う際の著作権の仕組みから、安全な楽曲の入手方法、トラブル対処法までを網羅的に解説しました。
最後に、重要なポイントをおさらいしましょう。
- Content IDの仕組みを理解する
「申し立て(Claim)」と「警告(Strike)」の違いを知り、適切に対処する - ジオブロックに注意する
日本の楽曲は海外でブロックされることが多い。海外展開するなら「世界中で再生できる楽曲」を選ぶ - 「著作権フリー」「ロイヤリティフリー」の違いを理解する
「フリー」=「何でもOK」ではない - 有料ストックミュージックサービスへの投資を検討する
月額数千円で著作権トラブルから完全に身を守れる - 公開前の著作権チェック機能を必ず使う
事前にトラブルを防ぐ最も簡単な方法 - 概要欄にクレジットとライセンスコードを記載する
万が一の申し立て時にスムーズに対応できる
著作権ルールを守ることは、あなたのチャンネルという大切な資産を守ることに他なりません。
海外展開を目指すなら、権利処理がクリアでクオリティの高い有料サブスク音源への投資が最短ルートです。
正しい知識と適切な音源を武器に、グローバルなYouTubeチャンネルを育てていきましょう。
YouTubeのコメントについてはYouTube海外進出のカギは「コメント欄」にあり!翻訳・返信・管理方法を徹底解説で解説しています。
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